記録帳

日常の体験と、読書、映画の感想を主に書きます。

絵のこと

父の遺品整理

 昨年2月に実家の父が亡くなり、相続やら後片付けやらで暮れ頃まで忙殺されておりました。大騒動で両親が住んでいた離れを片付けた後、この際だから今は誰も住んでいない母屋の方も片付けておこうと思ったら、まあ父の物の多いこと、多いこと・・・。タンスが3棹、本棚が6つ。父は着道楽だったらしくタンスには背広がギッシリと詰まっていたのですが、それがよく似た生地と色合いで、ほとんど同じ服に見えます。(意味ねーよ!)そして、体型が変わっても何一つ捨てないで取っておくので、太ったと言っては買い替え、痩せたと言っては買い替え、喪服なんて6着もありました。

 こういうの、なんて言うのでしょうか?ケチ?見栄っ張り?自意識過剰?ともかく辟易しながらやっと片付けて(廃品回収)、次に本棚の整理に取り掛かったら、またまたおおごとでした。現代日本文学全集、世界文学全集、美術全集、中国文学全集、昭和万葉集・・・そう、父は中学の国語教師だったのです。まあ、それはいいですよ。これらは十把一絡げでゴミ処理センター行きです。古本市で買って値札のついたままの本とか、一冊1万円とか、信じられない定価がついた仏教関連の本とか、どーするのよ!

で、捨てるに捨てられず、未だに物置に積んでいます。

 その中の一冊、古本市の値札(7000円)のついた井伏鱒二「集金旅行」初版本(著者署名入り)をパラパラめくって読んでみると、これが不景気な話で、小学生の子を残してポックリ死んでしまった知人のために、アパートの未回収家賃を取立てる集金旅行に出かける・・・とかいう話で、私はそういうびんぼー臭い話は大嫌いなんで、早々に放り出してゴミ箱に投げ込んだのですが、ふと思いついてネット検索してみると、べらぼうな値段がついていて、慌てて拾い上げました。

『古書・古本の販売、買取』 けやき書店―日本近代文学の専門店。初版本、署名本、太宰治、坂口安吾、開高健、雑誌など特に充実。― : 集金旅行

どうするよこれ?って考えていて、そういえば、福山市には文学館というものがあって、確か井伏鱒二の部屋もあったはずなんで、そちらに寄贈してしまえと思いつきました。いえ、まだ持って行ってないんですけどね。そのうち持っていくつもりです。

 

 父は、こういうところがあるのです。いえ、あったのです。その本が読みたいって買うのではなく、高価な本を所有したいっていうか、文学全集を所有する自分の姿を思い浮かべて悦に入るっていうようなところです。私なんて、本は中身が全てで、出来ることなら全部電子書籍にしてしまいたいと思っているくらいなんで、父の蔵書はただのゴミに見えるのです。

 実際、ホコリもすごくて、片付けをしている間中喉と目をやられて大変でした。どんだけお金をかけたかわからないほど大量の本を、ホコリまみれで放置していたってことも腹が立ったのですが、本棚の間にいろんなものがポロポロいっぱい挟んであったのも頭にきました。たとえばカメラ。昔の、きっと高かったに違いないだろう旧式のカメラ3台とか、大昔のオープンリールのテープ。写真のネガ。記念切手。コイン。お札。ひどいのは、聖徳太子2枚入りの熨斗袋です。「おいおいおい、これ、今からでも断って渡しといた方がいいんじゃない?」と母に確認すると、「その人ね、もう亡くなってる。」と言うのです。あーー、情けない!面倒くさいことを棚上げにして忘れてしまう、えーかっこしーの無責任男。つくづく父の性格がよくわかりました。私も、多分にその性格を受け継いでいるところがあるので、自戒しなくてはならないと肝に銘じました。

 

 まだ本題にたどり着いていませんが、疲れたので次回に回します。つづく・・・