絵のこと その9
油彩 藤井 哲 アラゴン三部作より「村の教会」「帰路」
これは私の一番のお気に入りの絵です。
今年2月、二点とも同時にオークションに出ていて、そう高くはありませんでしたので、二点とも買ってしまいました。
このストイックな感じがなんともよいではありませんか。(ガラスが光ってうまく撮れないので、オークションの写真を載せます。)
元はこんなナチュラルな色の額でしたが、重すぎるのでアクリル板の額に買い替えました。金色も合いますよね。(元の額には、直筆の作品名のラベルが貼ってあるのでもちろん大切に保存しています。)
夕日に向かって帰って行くこのロバの後ろ姿がまた、哀愁を帯びていて、なんとも言えず良いではありませんか。
貧しさの中でも我慢強く、朴訥に、ひたむきに生きている様が心打たれるのです。三部作なのに往路の絵がないのが少し残念です。
私の好きなスペインの本で、J.Rヒメーネス「プラテーロとわたし」というのがあります。
プラテーロはロバの名前です。主人公に寄り添うこのやさしいロバが私は大好きでした。子供の時読んで以来、この本のことを折にふれて思い出します。
そのエッセイに描かれるスペインの田舎の風景というか、空気感がこの絵にはあって、ひと目見たときから心をわし掴みにされました。
藤井哲という画家は、もう亡くなりましたが、お隣岡山県新見市出身です。
本も出ています。
Amazon.co.jp: 藤井哲の世界―スペインから沖縄へ: 藤井 哲: 本
新見美術館に作品が多く収蔵されているらしいので、いつか見に行きたいと思っています。
うちの子らは「この絵は暗い」とか「描きかけなんじゃないの」とか言うので、「私が死んだら、2点とも新見美術館に寄贈してね。」と言っています。