記録帳

日常の体験と、読書、映画の感想を主に書きます。

キャロル・オコンネル「マロリーの神託」

連休は読書三昧をして過ごしました。

夫は旅行好きで、休みの日には必ずどこかに行かないとストレスが溜まって死にそうになる人です。ところがここ数年、私がどこにも行こうとしないものだから、以前はヤイノヤイノと言っていましたが、最近はすっかり愛想を尽かし、一人でツアーを予約して勝手に行くようになりました。という訳で、ここ4日ばかりどこだか知りませんが旅行に行っていて留守なので、私は心置きなく夜更かししてミステリーを読みふけったのでした。

 

先日、Amazonで読むものを探している時、キャロル・オコンネル「陪審員に死を」(創元推理文庫)に目が止まりました。説明を読んでびっくり!なんと、刑事キャシー・マロリーシリーズの最新刊というではありませんか。

絶版になった竹書房「マロリーの神託が、創元推理文庫「氷の天使」と改題されて出され、その後もシリーズが続いていたってことを、この時初めて知ったのでした。

「マロリーの神託は、強烈な印象を残す作品でした。1994年に出ていますが、私が買ったのも多分その年です。度々の本棚整理にも生き延びてついこの間まであったのに、とうとうこの春、やけくその断捨離で手放してしまいました。残しておけばよかった。

この本がシリーズになっているとは露知らず、常々、マロリーがこの後どうなったのか知りたいものだと思っていましたが、やっと望みが叶うわけです。という訳で、わくわくしながら早速Amazonマーケットプレイスでシリーズ第2作「二つの影」(竹書房創元推理文庫では「アマンダの影」と改題)と第6作「吊るされた女」(創元推理文庫を買って読みふけりました。最高です。

マロリーはクール

この小説の文体は決して読みやすくありません。なんだか勿体ぶっているっていうか、人を見下して遠まわしに皮肉っているようなところがあって、何を言っているのかすぐにはわかりません。それに登場人物が多すぎてすぐに誰だかわからなくなります。いつもだったらすぐ投げ出してしまうところですが、ちゃんと読み切って、さらに20年もの間忘れずにいたわけは、それほど主人公が魅力的だったからです。強烈過ぎるのです。

 

マロリーはストリートチルドレンでした。刑事のルイ・マーコヴィツが捕まえて来て育てたのです(犬みたいな言い方ですが)、とても頭がよくて、恐ろしいほどの美人です。過酷な状況を生き延びてきたため、盗みを全然悪いことだと思っていなくて、それはいくらマーコヴィツや妻のヘレンが言って聞かせてもだめなんです。ヘレンが泣くので、見てわかるような盗みはしなくなりましたが、もっと巧妙に、どうやらパソコンを使ったハッキングによって大金を掠め取っているらしいのです。夫婦はこの子によい教育を与えようと、私立のお嬢さん学校に入れますが、マロリーは全然馴染みません。完全に周囲から浮いていましたが、本人はそんなことはまったく頓着せず、一匹オオカミで我が道を行き、長じてからは養父と同じに警官になったのでした。

警官の給料では決して買えないオーダーメイドのスーツ、高級ブランドの時計、高級アパートと家具。誰がどう見ても悪いことをして稼いでいるようにしか見えないのですが、誰もそれを咎めません。みんなマロリーを怖がっているのです。何が怖いかって、彼女の仕事は、コンピューターを使った情報収集なのですが、どうやって入手したかわからないようなディープな貴重情報で捜査に貢献しているのです。その気になれば、気に食わない人間を破滅させることなんて簡単にできるのです。それをやらないのは別に良心が咎めるからとかじゃなくて、ただ、「同僚を売るな」という養父のルールを忠実に守っているからに過ぎないのです。しかしそれ以前に、咎めたりすれば銃で撃ち殺されるかもしれません。マロリーには共感性というものが欠如しているので、多分人を殺すこともまったく躊躇しないでしょう。彼女が目の前に立ちふさがるだけで人は脅威を感じるのです。

よく、「犬に育てられたトラ」とかがTVに出てくるじゃないですか。あんな感じです。犬は仲間だと思っているから食べないんだけど、本当はたった一口で咬み殺すことができるのです。だから上司や同僚はマロリーに本能的な恐怖心を抱いていて、言うことを聞かざるを得ないのです。こういうの、なんて言うのだったっけ?とずっと思っていましたが、今回「社会病質者」という言葉が出てきてやっとしっくりきました。マロリーは危険な人なんです。あのまま放っておいたら、きっと裏社会の大物になって、社会の脅威となったことでしょう。もしかしたら国際的な犯罪組織を作り上げて、世界中でテロや内戦を引き起こしていたかもしれません。それほど賢く、冷酷で、特別な存在なのです。危ないところでした。マーコヴィツと妻のヘレンが、愛情を注いで育て導いたおかげでマロリーは、反社会的な存在にならずに済んだのです。そして今、羊の群れの番をするオオカミのごとく、警察に勤めて殺人の捜査をしているのです。

なんてクールなんでしょう。

このシリーズの魅力

この小説、アメリカやイギリスでベストセラーになっていたのですね。検索して初めて知りました。

キャロル・オコンネル - Wikipedia

今回気付いたのは、シリーズが進むにつれて徐々にマロリーの過去が明らかになってくるってことです。それぞれの殺人事件の真相だけではなくて、「マロリーはどこからきたのか」、「なぜホームレスになったのか」、「どんな経験をしたのか」などという本人がひた隠しにしている謎が、相棒のライカーやチャールズによって少しづつ明かされてくるのです。あ、こういうのって、米TVドラマの刑事ものにもよくあるなあ、とピンときました。一話完結で事件は解決するのだけれど、全編を貫く大きな謎が一つあって、それはちょっとづつしか解明されないので、マンネリだけど続きを見ないではいられないんです。

マロリーの場合、事件の謎と同じくらいに過去の事実が衝撃的なんで、次を読まずにはいられないのです。巧妙ですね(作者が)。

 

「吊るされた女」では、ストリートチルドレンだった10歳のマロリーが、二流ウェスタン小説のシリーズを、娼婦たちに朗読させていたという逸話が明らかになります。古本屋から一冊づつ「借りて」きたその小説を、「読んでちょうだい。」と頼んで毎晩一時間づつ読んでもらうのです。最初は高価な品物をお礼に渡しますが、それ以後は無報酬です。でも、娼婦たちは続きが知りたくて、読まずにはいられないのです。最後に差し掛かったらマロリーは今度は別の娼婦のところに行って読ませ、次の巻に移るので、彼女たちはその後何年も主人公がどうなったか気になって気になって仕方なく、マロリーが消えた後、みんなで集まって、物語を繋ぎ合わせたくらいでした。なんて巧妙なんでしょう(マロリーが)。

20年前の事件を模倣した連続殺人というメインの事件、その被害者の一人である娼婦とマロリーが関わった昔の殺人事件、そして、マロリーが朗読させていたウェスタン小説のストーリーが、同時進行で徐々に明らかになってゆきます。ヘボ小説に違いないんだろうけど、マロリー自身の境遇とも奇妙に呼応しているようなその小説のあらすじを、私も是非知りたいという気にさせられました。もちろん、子供の頃の事件の真相もです。ああ、こういうのが作者の目論見なんだ!と読み終わってハタと気づきました。入れ子型構造で、この物語の中毒性を解き明かしているんですね。

 

マロリーの孤独は強いからこそ

さらに今回気付いたのは、マロリーの孤独になぜか共感をおぼえてしまうってことでした。

マロリーはものすごく頭がいいので、大抵の同僚や上司は彼女の考えていることが理解できません。ただ、彼女に言うことを聞かせることは絶対にできないので、勝手にさせているだけなのです。そして大抵、彼女の行動は正しくて、事件を解決に導くのです。バカな人はどんなに説明してもだめなので力業で排除します。実にクールです。

こんなふうに周囲を従わせて我が道を行ければいいですよねえ。でも、大抵現実はどんなに正論を言ってもダメなんです。わからない人はわからないし、普通は周囲と折り合いをつけなくては生きていけないから黙ってしまう。マロリーみたいに、別に人に理解してもらわなくても全然構わないというほどの実力を持っていればいいですよねえ。

あ、そうか、アメリカなんかでベストセラーになったのは、バカな夫や上司や同僚に悩まされ、不本意ながらも愛想笑いをして生きている女性たちが、「マロリー、カッコイイ!」とシビレたからなんだな、と思いました。あんなふうに強く、賢ければどんなにいいでしょう。孤独でもへっちゃらなほどの強さがうらやましい。

 

マロリーはサバイバーなのです。一度なんて、スナッフビデオの製作者に誘拐されて殺されそうになったこともあったのです。危険で過酷な環境を生き抜いてきたために、むやみと人を信用しないし、感情を表に出さない、そして常に警戒する人間になったのです。当然、善悪の基準も普通の人とは違ってきます。なんてカッコイイんでしょう。

 

当分、このシリーズの読書三昧は続きます。

 

追記:創元推理文庫「氷の天使」(第一作)を買って読み返したところですが、ストーリーを完全に忘れてしまっていました。賢過ぎ、強烈過ぎる登場人物ばかりで、マロリーのことを忘れてしまいそうな勢いです。事件は複雑で容疑者多すぎ。

大金持ちの老婦人ばかりが殺される事件を追っていたルイ・マーコヴィッツが殺されるところから始まるんです。ライカーはよく、マロリーには心がないとか言っていますが、そんなことは全然ありません。彼女は、ルイがダンスをしているビデオを繰り返し見ながら、号泣するよりももっと哀切に、父の死を悼んでいたのでした。

それに比べれば、インサイダー取引で大儲けして大金持ちのくせに、極貧の従姉妹を全然援助してやらない老婦人とか、少年を奴隷のように束縛している偽霊媒師とか、善人面して実はとんでもなく危険なあの人とか、この人とか、心がないとしか思えないようなひどい人がいっぱい出てきます。ルイの仇を打つため、激情に駆られて撃ち殺しても不思議でないのに、冷静に彼らが自滅するよう仕向けるなんてやっぱりマロリーはカッコイイ!

 

 

 

 

 

ロルフ 「おとなのベビーチーズ」

最近ハマっているもの その3

ロルフのベビーチーズがおいしいです。特にお気に入りは「梅しそ味」

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おとなのベビーチーズシリーズは他にも色々な味があって、どれも美味しいです。

最寄りのスーパーでは1本118円です。

他に「贅沢ベビーチーズ」というシリーズもあって、トリュフ味が絶品です。

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ロルフって、さば缶を作っている株式会社宝幸のチーズ専門ブランドだったんですね。

私はこの会社の梅しそ味のさば缶が好きなんですけど、スーパーにいつもあるとは限らないので、わざわざ通販で買ったりしていました。

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あと、ここの「具だくさんのオリーブオイル」も美味しいです。

カリカリに焼いたトーストにこれを塗って食べると最高です。

でも最近、スーパーで見かけなくなってしまったんですよね。

また、お取り寄せしようかと思っています。

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どれもお酒のおつまみに良さそうですが、実はアルコールはあんまり飲めません。

これでお酒にまでハマってしまったら成人病まっしぐらですから、私には、これくらいのプチ贅沢がギリギリの許容範囲かなと思っています。

 

恋の予感

という名前のお米です。

近年の温暖化の影響で、中国地方で今まで栽培されてきたヒノヒカリの収量が減少してきたため、高温に強い新しい品種が開発されました。「恋の予感」です。

www.naro.affrc.go.jp

JAが推奨しているのでうちでも今年から作っています。

例年10月10日前後が稲刈りなのですが、どうもまだ稲が青いようで、おじいさんは「どうしようか」と言ってましたが、「遅くなると、詮方なくなるから」と、無理やり刈り始めました。(しかも、町内会の祭りの当日に山車が通っていく側で。)

 

案の定、未熟米が多くて、ちょっとこれはダメじゃないかと思っていたら、JAから通知が来ました。今年は秋口に急激に気温が下がったため、稲の成熟が遅れているということでした。苗の植え付け日と刈り取り適期の対照表があって、それによるとうちは10月23日が刈り取り予定日ってことになっているのです。10日以上早いじゃありませんか。

ここ2、3年、乾燥機に入る分だけちょこちょこと稲を刈り、その都度脱穀するということを繰り返しているので、4分の1刈っただけでした。セーフ。残りの分はちゃんと熟れてから刈り取ったため、実の入りも充実していました。

 

さて、出来たての「恋の予感」を炊いて食べると美味しかったと書きたいところなのですが、実はまだ食べていません。毎年、古米がなくなってから食べるので、何年も新米を食べていないのです。おじいさんは味が全然わからない人なので、新米も、古米も、古々米も、みんな同じだと言うのです。古米がなくなるのが初夏の頃なので、新米も、すっかり古米並になってしまいます。

特に今年は古米が八俵も残っているそうです。なんせ私はオートミールを食べるし、夫は土日にパンを食べるし、大学に行ってる息子は外食ばかりだし、米が全然減らないのです。この分では夏を越しても新米にたどり着かないかもしれません。

「新米を食いたいもんは小米を食ってくれ」と言われたので、鶏のエサ用の小米を炊いてみようかしらとちょっと思いましたが、ま、そうまでして食べなくてもいいのです。

 

ここ数年、刈り取り、乾燥、脱穀を細切れにするため、平日にいる私だけが助っ人に使われ、筋肉痛と粉塵による目と喉の不調に悩まされていましたが、今年はちゃんと夫や義妹も早く帰ってやってくれたので楽でした。

地球温暖化よりも、おじいさんが亡くなったら、もう百姓はできなくなるだろうなあとそっちの方が心配です。

 

 

缶コーヒーは、ほぼこれしか飲みません。

最近ハマっているもの その2

コカ・コーラの「ジョージア ヨーロピアン 香るブラック」が好きです。

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www.cocacola.co.jp

微糖も出ていますが、ブラックでなくてはいけません。

苦味がほとんどなく、缶コーヒーらしからぬ芳香が喉から鼻に抜け、変な後口もなくてとても美味しいのです。

普段は自動販売機の飲料を買わないのに、コーヒーが飲みたくなるとこれを買いに走ります。270mlで140円と、安くはありませんが、美味しいので気になりません。400mlだと160円で、こちらの方がお得感があります。

近頃はスーパーのレジの近くにコカ・コーラの冷蔵・保温ケースが置かれていることがあって、それだと90円で買えます。

 

常々、「猿田彦珈琲 監修」の文字が気になっていましたが、今調べたら、恵比寿の珈琲専門店のようです。

猿田彦珈琲、「究極の一杯」は世界を目指す | 若きプロフェッショナル | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

猿田彦なんて、「先祖代々続く老舗の銘店を継いだ、型破りな若社長」とかの名前かと思っていたら、ついこの間開店したばかりの恵比寿の専門店で、店名もノリで命名したみたいだし、ちょっと肩透かしですけど、まあ、別に美味しければなんでも構いません。

オートミール

最近ハマっているもの

最近、朝ごはんはオートミールにしています。

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オートミールは子供の頃から時々食べていました。と言っても、うちがそんなに洒落た家だったってわけではなくて、スーパーで見つけたクエーカーオーツを、物珍しさから買ってきて、私一人で食べていたってだけのことです。

その頃は、お粥にして、永谷園のお茶づけ海苔をかけて食べていました。海苔の香りで、独特の臭みが消えて食べやすくなるのです。

 

うちの娘は小さい時、そのオートミールのお粥が好きで、小腹が空いた時によく食べていました。ナッツやレーズンを入れて牛乳をかけて食べたりもしました。それで割と常備するようにしていたのですが、いつの間にかクエーカーオーツがスーパーから消えてしまいました。輸入元が取り扱いをやめたらしいのです。買うには輸入食品店まで行かなくてはなりません。しかも高いのです。私はそんなに好きでもなかったので、わざわざ買いに行くまでもないと、ストックしなくなりました。

ところが、最近になってから、ある小説を読みました。

 

さして面白くもない、アメリカの短編集の中の一篇ですが、主人公はメタボで死にそうになっている元スリです。不摂生が祟り、糖尿で片足を切断し、心臓発作で何度も病院に担ぎ込まれ、もう、自分の人生はこれで終わりかと諦めていました。仕事もできず、惨めに暮らしていたある日、オートミールが健康によいということを聞き、これだ!とひらめきました。それ以来、オートミールの大箱を買い込んでは、朝昼晩と食べたのだそうです。すると、血糖値もコレステロール値もすっかり正常になり、医者も驚くほど元気になってしまいました。なんと、素晴らしい!

そして彼は今、ハツラツとして、本業のスリに励んでいるのです。何せ悪党ですから。きっと長生きするのでしょう。死ぬまでせっせとスリに邁進して・・・。

というブラックユーモアなお話でした。

 

私は大変感銘を受けました。

そうか、オートミールは健康食なんだ!

さっそくAmazonで検索してみましたら、昔、雪印が輸入していたクエーカーオーツはもうなくなっていましたが、コストコが輸入しているのや、並行輸入品がちゃんとあるではありませんか。

さっそく4.52kgの大箱を注文しました。バケツみたいな大箱にドッサリ入っていて最初びっくりしました。粒も大きくて「これ、大丈夫か?」と思いましたが、煮ると普通においしいお粥になりました。

今は外装が変わっていますが、以前のは、箱にハートのマークが付いていました。いかにも心臓に良さそうではありませんか。(Oatmeal can help reduce cholesterolの文字が・・・)

 

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実は、私の母方は糖尿病の家系です。

母方の祖父は若くして糖尿が悪化し亡くなっておりますし、母の兄弟もみんな糖尿病です。母も厳重に健康管理しているのにもかかわらず、血糖値が高めなのでここ10年薬を飲み続けています。

そして、父方は脳卒中の家系です。年を取るとみんな脳の血管が詰まって倒れたりボケたりしています。私は両方の悪いところを引き継いだ、不健康のサラブレッドというわけです。今、血圧が高いので降圧剤を飲んでいます。先行きが不安なことおびただしい。

別に、長生きをしたいってわけではないのです。でも、失明したり、半身不随になったり、認知症になったりしては、家族がたまったもんじゃないではありませんか。

だから、健康によいものならなんでもやってみようと思っています。(まず運動して痩せろって話ですけどね)

オートミール生活を始めて、びっくりしたことは、朝の血圧が下がったことです。

今まで何をやっても下がらなかったのにですよ。まだ検査に行っていませんが、きっと血糖値や血中コレステロール値も下がっているに違いありません。来月の検査が楽しみです。

 

当分、オートミール生活を続けてみようと思います。

おじいさんが知ったら、「コメを食え!」と怒るかもしれないので内緒です。

 

 トム・ジョーンズ著 「スリ」

オートミールで検索していたら、なんと、あの小説が出てきたではありませんか!誰かのブログで転載されてるみたいです。

Growing Up In Public ("Pickpocket" Thom Jones)

 やっぱ、主人公嫌なヤツですね。

絵のこと その9

油彩 藤井 哲 アラゴン三部作より「村の教会」「帰路」

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これは私の一番のお気に入りの絵です。

今年2月、二点とも同時にオークションに出ていて、そう高くはありませんでしたので、二点とも買ってしまいました。

このストイックな感じがなんともよいではありませんか。(ガラスが光ってうまく撮れないので、オークションの写真を載せます。)

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元はこんなナチュラルな色の額でしたが、重すぎるのでアクリル板の額に買い替えました。金色も合いますよね。(元の額には、直筆の作品名のラベルが貼ってあるのでもちろん大切に保存しています。)

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夕日に向かって帰って行くこのロバの後ろ姿がまた、哀愁を帯びていて、なんとも言えず良いではありませんか。

貧しさの中でも我慢強く、朴訥に、ひたむきに生きている様が心打たれるのです。三部作なのに往路の絵がないのが少し残念です。

 

私の好きなスペインの本で、J.Rヒメーネス「プラテーロとわたし」というのがあります。

新刊・旧刊「絵のある」岩波文庫を楽しむ 文・坂崎重盛

プラテーロはロバの名前です。主人公に寄り添うこのやさしいロバが私は大好きでした。子供の時読んで以来、この本のことを折にふれて思い出します。

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そのエッセイに描かれるスペインの田舎の風景というか、空気感がこの絵にはあって、ひと目見たときから心をわし掴みにされました。

 

藤井哲という画家は、もう亡くなりましたが、お隣岡山県新見市出身です。

本も出ています。

Amazon.co.jp: 藤井哲の世界―スペインから沖縄へ: 藤井 哲: 本

新見美術館に作品が多く収蔵されているらしいので、いつか見に行きたいと思っています。

美観地区から大道絵師のメッセージです。

 

うちの子らは「この絵は暗い」とか「描きかけなんじゃないの」とか言うので、「私が死んだら、2点とも新見美術館に寄贈してね。」と言っています。

 

NHK オイコノミア「ローンの正体って・・・?」

やっと終わった住宅ローン・・・

先日NHK「オイコノミア」住宅ローンについて取り上げられていました。

www4.nhk.or.jp

番組の内容については触れませんが、今年やっと住宅ローンを完済した私としては、なかなか感慨深い思いをしながら見ました。いえ、完済したから見れたのだと思います。もし、今も苦労していたら冷静に見れなかったかもしれません。

昨年父が亡くなり、私もちょこっと相続したので、昨年の夏、ローンの残りを一挙に返済したのです。

完済手続きが終わった時には、安心感で涙が出ました。(大げさ?)

 

うちのローンは、今から18年ほど前、住宅金融公庫で約2000万円を30年の返済予定で借りたのですが、最初、家に届いた償還予定表を初めて見た時には愕然としました。

30年ローンって言ったら、夫が定年退職してから何年もダラダラと返し続けなくてはならないのです。そんな余裕があるのでしょうか?(いえ、絶対ない!と今なら断言できます)「皆さん、退職金で一括返済されますよ。」と、住宅メーカーの人は事も無げに言いましたが、そんなことをすれば、老後資金がなくなってしまうではありませんか。「どうしたらいいの?」

繰り上げ返済で乗り切った

18年前の私は不安に駆られ、住宅ローンの本を読みあさりました。すると、どの本にも書いてあることは、「早期に繰り上げ返済するべきだ」ということでした。金融機関によっては繰り上げ返済は一定額以上でないとできないというところもありますが、最近では1万円単位でできるところが多くなりました。早期の繰り上げ返済は、その分の利子をなくすということですから、総返済額の大きな減額効果があるのです。

そこで私は、それまでは惰性で行ってた家族旅行を廃止し、節約に努めて、ボーナスの一定額を繰り上げ返済用に積み立てることにしました。もう何回繰り上げ返済したか忘れたくらいです。おかげで10年目には、ボーナス払いにしていた部分をなくすことができました。その浮いたお金を、さらに繰り上げ返済用に積み立てました。

その頃の私は、なんだかいつも頭の上に重しが乗っているような圧迫感を感じていました。家計簿をつけるのが苦手なので、一頃流行った「袋分け」という方法で、毎月の支出を細かく管理していました。いつもキチキチでした。ローンの組み方が、「元金均等返済」でしたので、毎月90円くらいづつ返済額が減っていきます。一年で約千円、10年で1万円。10年たって、当初の返済額6万円が5万円になった時には感涙に咽びました。(うそですが)

1-5. 元利均等返済と元金均等返済とは?:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】

算数が苦手でお金の計算も大嫌いな私が、毎月毎月、通帳とローンの償還予定表を眺め暮らしていたのです。どんぶり勘定だった昔の私からは信じられない変化でした。

償還予定表は大事

償還予定表は一冊のファイルに綴じて、そこにいろいろなことを書き込んでいました。夫や私や子供の年齢、入学や卒業、車の買い替え、家のリフォーム予定など、お金のかかりそうな「ライフイベント」と言われるようなことをです。ここでこれだけお金が掛かるから、それまでに貯めておかなくちゃいけないということがすぐにわかります。

年払いの保険料や車の車検、固定資産税や浄化槽の清掃費用などなど、どうしても必要な経費も月割で計算し、毎月の支出に含めて積み立てておくようにすると、実はほとんど余裕はないのです。家を建てる前には、ノー天気に旅行をしたり、外食をしたりしてボーナスを使い果たしていましたが、実はそんなのは分不相応な贅沢だったと痛感しました。

 

そのメモにちょっと不思議なことがありました。2008年のところに「なにか、たいへんなことが!」という書き込みがあるのです。ライフイベントを書き込むときに書いたようなのですが、全く記憶にありません。後で見て、「なにか大変なことって何?」と、首をかしげたのですが、その後、秋にリーマン・ショックが起こり、あー、このことだったのか、とわかりました。

一体、何を思ってそんなことを書いたのかって考えていて思い当たるのは、多分、この本を読んだからだろうと思います。

Amazon.co.jp: 不安の正体!: 金子 勝, 藤原 帰一, 宮台 真司, A・デウィット: 本

「不安の正体」の中で、経済学者の金子勝さんが、「アメリカの住宅ローン債権は、大変危険なものになっていて、遠からず破綻するだろう。影響がどれだけ広がるかわからない。」ということを言っているのです。この本は2004年に出版されています。

私は、2008年の3月にAmazonマーケットプレイスでこの本を買って読み、なんだかわからないけど経済危機みたいなことが起こるに違いないと、不安に駆られてメモに書いたようなのです。夏頃見たときには、すっかり忘れちゃっていましたけど、

「なんだかわかんないけど、大変みたいだから対策を考えなくちゃ」

と焦りました。「不況⇒デフレ⇒賃金低下⇒借金の実質増大」と、今まで繰り返されてきた悪循環がさらに進むとしたら、できるだけ借金を減らして身軽にならなくてはなりません。そこで私は最後の手段として、借金の圧縮に効果的なローンの借り換えをしようと決心しました。

借り換えで返済期間と総返済額の圧縮

当初借りていたローン金利3.5%でした。その頃にはいろいろな金融機関でもっと安い金利のローンが出ていたのです。いろいろ調べて、労働金庫の「10年固定2%」というのが当時一番安いという結論に達し、申し込みました。ざっと計算しても、利子分が5~60万は安くなります。そして、返済期間が短くなるため、夫の定年と同時に完済することができるのです。「よし、これで行こう。」と思いました。

 

ところが、この手続きが結構大変でした。一番最初にローンを組んだ時よりも審査が厳しくって、土地の持ち主である義父と、家の共同名義者である私とが連帯保証人になり、山ほど書類を書かなくてはなりませんでした。

借り換えの手続きで何度も支店に足を運んでいた頃、仕切りの向こう側から別な人達への対応が漏れ聞こえることがありましたが、

「この年収では、うちは無理ですね。」とか、

「奥さんの収入を合算するので所得証明を取ってください。」とか、

「この職種では・・・」とか、

とにかく対応が厳しいのです。どこもこんなもんなんでしょうか。それとも、ろうきんが特に審査が厳しいのでしょうか。うちも、今までローンの返済をしていた口座の通帳を2冊ほどコピーされ、過去に焦げ付きがなかったかどうかチェックされました。

そして、めでたく借り換えが完了し、最初の返済が始まった頃、アメリカが大変なことになってしまったので、びっくりしました。メモの不安が的中してしまいました。泣く泣く家を手放す人達の映像をニュースで見た時には本当にぞっとしました。決して他人事ではありません。うちだって、何か不幸なことが重なれば、ローン破綻していたかもしれないのです。

私はビビリ

その頃には、ボーナスも年々減っていってましたが、ボーナス返済を設定していなかったのでへっちゃらでした。ボーナス分から毎回10万円を繰り上げ返済し、着々と期間短縮してゆき、そして予定より3年早く、一括返済することができました。

もう、頭の上の重しが取れたような、または、白黒の世界がパアーっとカラーになったような、晴れやかな気分です。

住宅ローン一つでこの有様です。つくづく私は小心者だと痛感しました。借金をしてはいけないタイプなんです。

 

「オイコノミア」を見ながら、「もう一度、あの返済の日々をやるなんてのは絶対無理だな」と思いました。不安過ぎます。

今時の若い人達は、本当に年収が低くてかわいそうだと思います。先行き勤め先がどうなるかわからないので、ローンを組むのはリスクが高すぎです。土地を買って家を新築するのではなく、何か他の方法で家を手に入れることを考えなきゃだめな時代だと思いました。

 

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