NHK「新春テレビ放談2016」
2日夜にテレビをつけたら、民放の番組について論じる番組をやっていて、「こういうのはどうでもいいや」とNHKに変えようとしたら、それがNHKだったのでびっくりしました。
新春テレビ放談2016
番組内容
2015年に放送されたテレビ番組人気ランキングをもとに辛口パネラーたちが徹底討論!
いろいろ面白かったのですが、中でも私が最近気になっていたことも言っていて、ああ、やっぱりそうなのかと納得したので書いておきます。
マツコ・デラックスはなぜ流行っているのか
マツコさんは・・・・
「どんな立場の人からも、非難されない。自分の代弁をしてくれる人という立ち位置」
「あのフォルムはすごい。美しいよね。」
「フグに毒があってもいいってかんじ」
「賢いよね。こんなことを知っているのかっていうようなことを知ってる。」
出演者の発言、全部そうだと思います。
何年前だったか忘れましたが、「たかじんのそこまで言って委員会」で故三宅久之氏が
「最近の夜のテレビ番組は何だ!人三化七みたいのばっかり出てくるじゃないか!」
と怒っていて、「人三化七ってなんのこと???」と不思議に思って夜中にテレビをつけたらマツコさんが出ていて、「あ~、これか~・・・」と納得してしまいました。
その時は、「この人は細木数子の穴埋めだな。」と思い、私は細木数子が嫌いだったのですぐにテレビを消してそれっきり忘れてしまったのでした。
それから時は流れ、その次にマツコさんを見かけたのは、「マツコの知らない世界」
です。
「ちゃんちゃらん、ちゃ、らららららららら・・・」というテーマ曲(Linda Scott " I’ve Told Every Little Star")に惹かれてつい見てしまったら、最新の文具について語る人が出ていて、「あー、このボールペン欲しい!」と強く思い、その時初めてマツコ・デラックスは細木数子とは似て非なるものだということがわかったのでした。
ボールペンライターオススメ!高いけど長く使えるボールペン・マツコの知らない世界
私は元々、「潜入リアルスコープ」とか、工場見学の番組が大好きなんですが、「マツコの知らない世界」は、毎回「その道のプロ」みたいな人が出てきて、ディープな情報を提示してくれるところは、工場見学番組みたいだなとちょっと思って、それ以来録画保存するほどこの番組が好きになりました。
そしてつい先日、「マツコ会議」を見たら、なんとスゴイ格好の素人の人たちがたくさん出ていて(スゴイの意味はまあ、いろいろあるのですが・・・)、「あ、三宅先生が人三化七とおっしゃったのは、ひょっとするとこの手の人たちのことだったのかな?」とやっとわかったのでした。
10月にマツコさんがトヨタの工場に見学に行く番組を見ていたら、工員の人たちに対する質問も、社長に対する質問も、ちゃんと的を射たもので、尚かつ、いい意味で下世話なところもあって、「こういうの、バカな人にはできない会話だな」と思いました。
「マツコの知らない世界」で、はっきり言って、興味のない人にはまったく意味のないようなウンチクを披露されてもちゃんとついて行けるってのも、なかなかできそうでできないことで、引き出しの少ない人にはちょっと無理だろうなあと思います。つまりマツコさんはかなり賢いのです。
そして、「月曜から夜更かし」などで毒舌を吐いていても、「地獄におちるわよ~」的な傲慢さを感じないから安心して見ていられます。番組スタッフには怒鳴ったりしてるけど、素人の痛いところを突く酷いナレーションには「ちょっと、やめなさいよ!」と必ず言うので、弱いものいじめに堕していない。
それから、「どうせあたしなんて、いつまで生きられるかわからないし・・・」とか、思わず納得してしまいそうになる弱音を吐いたりするので、なんだか、「人生いろいろあって、修羅場もくぐり抜けてきました。ここも、いつまでやってられるかわかんないけど、とりあえず、やれるまでやるわ。」っていう場末の飲み屋の女将さんみたいな感じで(いや、そういう飲み屋に行ったことないけど)、「そりゃーわかるわ。」と、ついつい胸襟を開いてしまいそうになるのです。ちょっと、「弱いもんの味方」的な幻想を抱いてしまうってことですね。
でもって、
こういう討論番組を作るってところがNHKはえらい
と思いました。
子供の頃は、本をたくさん読んで教養を高めようと考えていましたが、最近、自分の知識教養の中身の由来をチェックしてみたら、そのほとんどが、読書からではなく、テレビから吸収したものだったということに気がつきました。多分60%くらい。残り40%のうち15パーセントが新聞で、25%がネット。読書からは5パーセントくらいに過ぎないって感覚ですね。
子供の頃、「テレビばっかり見ているとバカになる」と言われましたが、今バカになっているのは、決まった番組だけしか見ていない(「水戸黄門」とか、「新婚さんいらっしゃい」とか)私らの親世代の方です。全然言葉が通じません。
そして、ほとんどテレビを見なくて、ネットばかり見ているうちの子どもたちとも言葉が通じません。彼ら、時間軸と空間軸がメチャメチャ狭いのです。
最近、「新・映像の世紀」を見て思ったのは、前回の「映像の世紀」を見て皆が痛烈に思ったこと・・・「なぜこんな悲惨なことになったのか」という疑問の答えが今回説明されているんだなってことでした。絡まりあった糸をひとつひとつ手繰り寄せ、丁寧に解きほぐしていくかのように、歴史的な流れをわかりやすく見せていて、すごいと思いました。映像の力を感じると同時に、テレビの力、そしてNHKの力を感じました。
結論 テレビを見ないとバカになる!
終わり