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記録帳

日常の体験と、読書、映画の感想を主に書きます。

Amazonプライムビデオ 「アルファ・ハウス」

 

Amazonプライム会員は、プライム対象のビデオが見放題です。

素晴らしい!

そのことに今頃やっと気づいて、この2ヶ月ばかりカウチポテトでビデオ三昧していましたら、てきめんにバチが当たり、ぎっくり腰になってしまいました。

人間ってすぐに堕落するし、使わない筋肉はあっという間に衰えるのですね。

 

プライムビデオって結構充実しています。「こんだけあれば、一生これ見て遊んでられるわ。」と、密かに思ったくらいです。中でもAmazon限定のこのドラマがサイコーでした。

アルファ・ハウス

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「アルファ・ハウス」が不評なのが不思議です。

共同生活を送る4人の(ちょっとおバカな)共和党上院議員たちのコメディー・ドラマで、これが猛烈におもしろい。なのにネット上ではあまり評判が良くないらしいんです。

多分みんな何か誤解してるんだと思います。

 

なんで上院議員が共同生活を?、と思いますが、議会の開いている間だけワシントンに滞在するにはシェアした方が安上がりってことのようです。

冒頭、ハウスのメンバーが司法省に召喚されていたのを忘れて寝坊していたため逮捕され、新たなメンバーを補充しなきゃならなくなるってところから始まります。

なんておバカなんでしょう!と思いますが、一方議会では共和党が「エネルギー安全保障法案」に反対し、夜通し「議事妨害」の演説をしていて、とてもシュールです。

 

「議事妨害」というのは、日本でもかつて話題になった「牛歩戦術」みたいなもので、法案の成立を阻止するために、時間切れで廃案になるのを狙って夜通し反対のスピーチをするのです。かつて、ザ・ホワイトハウスでも出てきました。

真夜中で誰もTV中継なんか見ていないものだから、歌を歌ったり、新人議員の名前を延々と読み上げたりとスピーチの内容は何でもアリです。古参議員が法案についてまともに反論しているかと思えば、「地球温暖化エセ科学だ。」とか、「ホッキョクグマが溺れて死ぬのは自然淘汰だ。」とか、暴言吐きまくりだったりします。この石頭のうすらトンカチめ!とムカついていたら、どうやらこの人みんなに嫌われてるらしく、後に腹上死します。この人、「石頭のうすらトンカチ」の共和党議員のパロディなんですね。

アルファ・ハウスのメンバー、ロバートは、自分の支援者である民間警備会社がいかに素晴らしいかというスピーチをして媚を売るし、何の準備もしてなかったギル・ジョンは、その原稿を借りて凌いだりして、ほんと何でもアリです。議事妨害などという戦術自体が不毛で馬鹿げた茶番劇なので、それをやってる人たちが馬鹿げて見えるのは当然です。

 

ゲイを揶揄しているのではなく、ゲイ嫌いとゲイ嫌いを演じざるを得ない共和党の偽善性を揶揄している

家主でネバダ州選出議員のルイスは、ちょっとオネエっぽくてどうやら隠れゲイらしいのですが、共和党である上に、元モルモン教の宣教師だったという出自の手前ゲイ嫌いを演じざるを得ず、「正常な結婚の推進協議会」とかいう馬鹿げた委員会に出たりして必死に反同性愛をアピールしようとします。ところが誰が見てもゲイっぽいもんだから不自然な努力はことごとく裏目に出るし、逆におちょくられてお笑いネタにされたりします。ここで注意しなきゃならないのは、このドラマではゲイを笑いものにしているわけではなくて、「実はゲイ傾向があって周囲も感づいているのに、本人だけがそれを認めるのを拒んで、ことさらにゲイを攻撃し、男らしさを誇示しようとするタイプの人」を笑いものにしているのです。彼が理想と現実の板挟みに四苦八苦する様が何となく可愛くておかしいのです。

 

アルファ・ハウスの住人は、実はリベラルが共和党に託した理想?

アルファ・ハウスの他のメンバーも当然いろんな矛盾を抱えていて、例えばロバートは、黒人労働者階級の代表みたいな宣伝をしていますが、実は裕福な家の出で洗練されていて、背広はアルマーニです。

ギル・ジョンは元フットボールのコーチという硬派のイメージを売り物にしていますが、実は妻と秘書に完全に手綱を握られているし、新しいメンバーのアンディーは「未来の大統領候補」を自称しているくせに、セックス依存症のプレーボーイだし、描き方は極端だけど、もしかしたらこういう人現実にいるかも、と思えてめちゃめちゃおもしろいです。そういうカラーの違う4人が仲良く共同生活しているっていうのもひょっとしたら共和党に託された包括の理想?と思いながら、選挙対策とか、討論会とか、マジでハラハラドキドキしてしまって、私としては硬派の「ザ・ホワイトハウス」くらい面白かったです。

 

嫌われもののティーパーティ

ホワイトハウス」と言えば、あの秘書のドナ・モス役だった人が、共和党右派の議員役で出ています。そのゴリゴリのタカ派女性議員が、銃を持つ権利を振りかざして議事堂に立て籠り、大騒動を引き起こすのですが、その時ギル・ジョンがのしのし歩いてきて、背後からさっと銃を取り上げ、「権利を振りかざすのもいい加減にしろ!」とあっさり事態を沈静化させ、「おお、この人って案外常識派なんだ。」と評価が上がりました。

ギル・ジョンは選挙活動の最中に嫌気が差し、知事との会合をすっぽかして自分の故郷に逃亡します。ところが、地元の顔なじみと話しているうちに違和感を感じるのです。彼らは、気候変動とか訳のわからないものに金を使うのではなく、もっと開発や農業の補助金を増やして欲しいと言います。あからさまではないけれど移民に反感を持っていて、彼らのことは安く使い捨てにできる奴隷みたいに考えています。ギル・ジョンは愕然として悟るのです。昔のままのやり方ではもうやっていけないと。

それを、密着取材していたカメラの前で表明します。

ルビー・ショールズは昔から保守的な土地柄で、共和党支持が根強い。そして、我々が最も大切にしてきたのが“チャンス”だ。ものをつくることでチャンスをつくってきた。道路、学校、配電網・・・アイゼンハワーは州間高速道路を造った。ニクソンは環境保護庁を設立した。この景観を守るためだ。

保守派は、環境保護と自由市場を重んじてきた。そうすることで気候変動に対応できると、そう思ってた。だが、それは過去だ。今は気候変動を信じない。研究にも反対だ。インフラ構築や犯罪歴調査も同じだった。ティーパーティーと政策が重なるまで・・・。

もう、うんざりだ。ずっと前の俺は、誰にも断ることなく、病院や研究施設を造った。貢献を未来に伝えたくて、自分の名前を付けた。元コーチとして、若者の未来を変える学生ローンを強く支持した。

政府閉鎖や有権者抑制法案、大統領をヒトラーと比べるのも、俺は反対だ。俺は復活する。

 ちょっとここで補足しますが、ヒトラーと比べられているのは共和党の大統領ではなくて、オバマ氏のことです。つまり、ティーパーティーってのは、オバマケアのような社会保障制度を共産主義だのナチズムだのとむちゃくちゃ批判しているのです。

で、このビデオメッセージは有権者に好意的に受け止められ、選挙で劣勢だったギル・ジョンは一気に挽回します。

 

彼らは中庸?

民主党議員の嫌われ者もいて、元左翼の闘士だったみたいな雰囲気のアーミストン議員は、空気読まな過ぎで顰蹙を買いまくります。ルイスの怪我が回復したのを祝って開かれた祈りの輪の集会で、「もし、現代にイエスが生きていたら、きっと共和党の政策に反対したに違いない。貧しき者の味方イエスは民主党のものよ。」などと発言し、その意見には私も密かに賛同するのですが、いくらなんでも、こんなところで言うべきじゃないだろうと、私でも思います。

彼女、共和党議員のたまり場にやって来て、「哲学者ミルによると、保守的な人間がバカとは限らないけど、バカは保守主義に走るそうよ。今の共和党は、バカとマヌケと悪人しか残ってないわね。」などと言うんです。多少、共感するところはありますが、「はっきり言い過ぎだろ」と、逆に共和党を擁護したくなるから不思議です。右派共和党員や、急進的民主党員に比べれば、アルファ・ハウスのメンバーははるかにまともで穏健だという気がします。

 

そうか、理想なのかも・・・

ロバートもギル・ジョンもアンディーすらも、だんだんと変わってきて、党派を超えて何か有意義な法案を成立させようと努力するようになります。最後には、党を上げてレズビアンの秘書同士の結婚式を応援するという、茶番なんだか本気なんだかわけのわからないビッグイベントもあって、「そーか、要するに、理想の共和党っていうのを投影してるのね、このドラマで・・・。」と納得して終わったのでした。

 

ちょっと、書きたくても書けない(卑猥過ぎて・・・)抱腹絶倒のシーンも満載で、こんなおもしろいドラマが、なんでシーズン2で終わっちゃったんだろと残念でたまりません。