またまた時事ネタ
とんでもなく間が空いてしまいました。
夏の間にいろいろなことが起こりましたが、そのことはまたの機会に(多分)書くとして、一昨日はびっくりしてしまいましたよね。
アメリカ大統領選 トランプ氏勝利
最近、私はテレビをほとんど見ないんです。
実は、タブレットでAmazonプライムビデオを見るのに忙しくって、テレビは朝のニュースくらいしか見ていないのです。
そうしたら、夕方夫が帰ってきて、「株価は下がったか?」と聞くので何のことかと思ったら、トランプさんが大統領になってるじゃありませんか。アゴが外れるほどびっくりしました。
だってね、あれですよ。二者択一じゃないんです。選択の余地はなかったんですよ。なのに、・・・ありえません!
で、その後犬の散歩に行ったら、久しぶりに出会った犬友が、
「日米関係はどうなるんでしょう。会社でもその話題で持ちきりで・・・」などと言うんです。
「う~ん、今までの情報からすると日米関係は悪化。為替は円高。株価は低迷。
トランプさんは保護主義的なことを言っているから日本製品の関税を引き上げるかも。農産物も押し付けてくるだろうし、・・・・。
国際的には孤立主義。アメリカは中東の大混乱を招いた張本人のくせに、トランプさんはその責任をほっぽらかして知らん顔するつもりかも。ISの台頭で大変なときに・・・。日中関係も仲裁者がいなくなると困るよね。
国内的には大体、共和党右派は銃規制反対、妊娠中絶反対、同性婚反対、移民受け入れ反対、社会保障費は削減という立場だから、そういう時代錯誤の政策で社会は大混乱。ブッシュさんで懲りたのじゃなかったのかね、アメリカは・・・・。」
などとひとしきり話していて、「ああ、そう言えば、こういうの、前にもあったなあ・・・」と思い出しました。こういうの、というのは、人々が長い年月をかけてやっとのことで合意し、築き上げてきたものを蹴っ飛ばしてチャラにする、幼児的暴力的振る舞いのことです。たとえば、イギリスのEU離脱とか。
ところで、この夏は、テキサス出身の作家、ジョー・R・ランズデールの小説をずっと読んでいました。「ボトムズ」「サンセットヒート」「ダークライン」「アイスマン」など・・・。
ストーリーはおもしろかったのですが、瞠目的というか、唖然としたのは、そこに描かれた1950年代以前のアメリカ南部の人種差別の状況でした。公民権運動が盛んになる以前、アメリカ社会はこんな状況だったのかと目からウロコが落ちる思いでした。本当に長い時間をかけ、多くの犠牲を払ってやっと今の平等な(異論がある人もあるかもしれないけど)社会が形成されたのだと感慨深く思っていたら、そういう歩みを蹴り飛ばすような乱暴な発言をする人が大統領候補になり、それを支持する人たちがいるってオドロキだと夏頃は思っていました。
そして今、まさにその人が、世界の超大国アメリカの大統領になっているのです。
ふざけんなよ!
人類はだんだんバカになっているに違いありません。
で、EU離脱の時にも思い出したのですが、今回もまた思い出したのは、以前、佐藤優氏が何かの雑誌(多分『論座』)の未来予測で、「これから帝国主義の時代が来る。」と書いていたことです。(あ、ひょっとすると「ファシズムの時代」だったかも)
民主主義が独裁者を生み出すこともあるのだと、マルクスの『ルイ・ポナパルドのブリュメール18日』を引き合いに出して、述べられていたのです。
ここらへんのブログ内の説明がわかりやすい。
19世紀のフランス第二共和制では、当時、もっとも進んだ民主的議会制度が導入されていた。下層である分割地農民にも投票権が与えられた。しかし、貧しい 分割地農民の利害を代表する政党がない。そのため、農民は、ナポレオンの甥であるという触れ込みで、政治的に何の実績もないナポレオン3世に投票した。ナ ポレオンは、大統領に当選した後、議会を廃止し、帝政を復活し、圧政で分割地農民を苦しめた。分割地農民は、自分で自分の首を絞めるよな状況を作り出した のである。
血みどろの努力の末に勝ち取った革命で、いざ民主的な選挙をしてみれば、ロクデナシの独裁者を選んじゃって自分の首が絞まる・・・みたいな。民主主義の罠です。
私は佐藤氏の雑誌記事を読んだときは、まっさか~!と最初思ったのですが、ふと、うちの近くにある「ホロコースト記念館」の館長がおっしゃってたことを思い出しました。
初めてホロコースト記念館に行くと、視聴覚室で館長による説明ビデオを見ることになっているのですが、その冒頭で館長は、「ナチスは、民主的な選挙によって選出されたのです。」ということを強調されるのです。だから、気を付けないと私たちはいつまた独裁者を生み出し、大虐殺を引き起こすかもしれないのです。だから、同じようなことが今起こっても不思議はありません。
で、『ルイ・ポナパルドのブリュメール18日』で検索すると、ちゃんと宮台真司氏とか、内田樹氏とかのブログが出てくるんで、そうか、やっぱりみんな以前から危惧してたんだな、と思いました。
宮台真司氏のブログ http://www.miyadai.com/index.php?itemid=1080
(ツイッターではもう11日にルイ・ポナパルト=トランプって書いてる人がいる!
トランプ現象は、マルクスが「ルイ・ボナパルトブリュメール18日」で活写した、ナポレオン三世の支持階層である自作農の反動そのまま。コミュニケーション能力を欠いた政治的代弁者の不在にボナパルトは乗じた笑劇の再現のまた再現なわけです。 https://t.co/K0Xs27Z93w
— シン・コタツ (@sangituyama) 2016年11月11日
で、宮台氏はトランプは劇薬と言っているらしい・・・。正統派保守がんばれってことか?)
で、