記録帳

日常の体験と、読書、映画の感想を主に書きます。

NHK オイコノミア「ローンの正体って・・・?」

やっと終わった住宅ローン・・・

先日NHK「オイコノミア」住宅ローンについて取り上げられていました。

www4.nhk.or.jp

番組の内容については触れませんが、今年やっと住宅ローンを完済した私としては、なかなか感慨深い思いをしながら見ました。いえ、完済したから見れたのだと思います。もし、今も苦労していたら冷静に見れなかったかもしれません。

昨年父が亡くなり、私もちょこっと相続したので、昨年の夏、ローンの残りを一挙に返済したのです。

完済手続きが終わった時には、安心感で涙が出ました。(大げさ?)

 

うちのローンは、今から18年ほど前、住宅金融公庫で約2000万円を30年の返済予定で借りたのですが、最初、家に届いた償還予定表を初めて見た時には愕然としました。

30年ローンって言ったら、夫が定年退職してから何年もダラダラと返し続けなくてはならないのです。そんな余裕があるのでしょうか?(いえ、絶対ない!と今なら断言できます)「皆さん、退職金で一括返済されますよ。」と、住宅メーカーの人は事も無げに言いましたが、そんなことをすれば、老後資金がなくなってしまうではありませんか。「どうしたらいいの?」

繰り上げ返済で乗り切った

18年前の私は不安に駆られ、住宅ローンの本を読みあさりました。すると、どの本にも書いてあることは、「早期に繰り上げ返済するべきだ」ということでした。金融機関によっては繰り上げ返済は一定額以上でないとできないというところもありますが、最近では1万円単位でできるところが多くなりました。早期の繰り上げ返済は、その分の利子をなくすということですから、総返済額の大きな減額効果があるのです。

そこで私は、それまでは惰性で行ってた家族旅行を廃止し、節約に努めて、ボーナスの一定額を繰り上げ返済用に積み立てることにしました。もう何回繰り上げ返済したか忘れたくらいです。おかげで10年目には、ボーナス払いにしていた部分をなくすことができました。その浮いたお金を、さらに繰り上げ返済用に積み立てました。

その頃の私は、なんだかいつも頭の上に重しが乗っているような圧迫感を感じていました。家計簿をつけるのが苦手なので、一頃流行った「袋分け」という方法で、毎月の支出を細かく管理していました。いつもキチキチでした。ローンの組み方が、「元金均等返済」でしたので、毎月90円くらいづつ返済額が減っていきます。一年で約千円、10年で1万円。10年たって、当初の返済額6万円が5万円になった時には感涙に咽びました。(うそですが)

1-5. 元利均等返済と元金均等返済とは?:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】

算数が苦手でお金の計算も大嫌いな私が、毎月毎月、通帳とローンの償還予定表を眺め暮らしていたのです。どんぶり勘定だった昔の私からは信じられない変化でした。

償還予定表は大事

償還予定表は一冊のファイルに綴じて、そこにいろいろなことを書き込んでいました。夫や私や子供の年齢、入学や卒業、車の買い替え、家のリフォーム予定など、お金のかかりそうな「ライフイベント」と言われるようなことをです。ここでこれだけお金が掛かるから、それまでに貯めておかなくちゃいけないということがすぐにわかります。

年払いの保険料や車の車検、固定資産税や浄化槽の清掃費用などなど、どうしても必要な経費も月割で計算し、毎月の支出に含めて積み立てておくようにすると、実はほとんど余裕はないのです。家を建てる前には、ノー天気に旅行をしたり、外食をしたりしてボーナスを使い果たしていましたが、実はそんなのは分不相応な贅沢だったと痛感しました。

 

そのメモにちょっと不思議なことがありました。2008年のところに「なにか、たいへんなことが!」という書き込みがあるのです。ライフイベントを書き込むときに書いたようなのですが、全く記憶にありません。後で見て、「なにか大変なことって何?」と、首をかしげたのですが、その後、秋にリーマン・ショックが起こり、あー、このことだったのか、とわかりました。

一体、何を思ってそんなことを書いたのかって考えていて思い当たるのは、多分、この本を読んだからだろうと思います。

Amazon.co.jp: 不安の正体!: 金子 勝, 藤原 帰一, 宮台 真司, A・デウィット: 本

「不安の正体」の中で、経済学者の金子勝さんが、「アメリカの住宅ローン債権は、大変危険なものになっていて、遠からず破綻するだろう。影響がどれだけ広がるかわからない。」ということを言っているのです。この本は2004年に出版されています。

私は、2008年の3月にAmazonマーケットプレイスでこの本を買って読み、なんだかわからないけど経済危機みたいなことが起こるに違いないと、不安に駆られてメモに書いたようなのです。夏頃見たときには、すっかり忘れちゃっていましたけど、

「なんだかわかんないけど、大変みたいだから対策を考えなくちゃ」

と焦りました。「不況⇒デフレ⇒賃金低下⇒借金の実質増大」と、今まで繰り返されてきた悪循環がさらに進むとしたら、できるだけ借金を減らして身軽にならなくてはなりません。そこで私は最後の手段として、借金の圧縮に効果的なローンの借り換えをしようと決心しました。

借り換えで返済期間と総返済額の圧縮

当初借りていたローン金利3.5%でした。その頃にはいろいろな金融機関でもっと安い金利のローンが出ていたのです。いろいろ調べて、労働金庫の「10年固定2%」というのが当時一番安いという結論に達し、申し込みました。ざっと計算しても、利子分が5~60万は安くなります。そして、返済期間が短くなるため、夫の定年と同時に完済することができるのです。「よし、これで行こう。」と思いました。

 

ところが、この手続きが結構大変でした。一番最初にローンを組んだ時よりも審査が厳しくって、土地の持ち主である義父と、家の共同名義者である私とが連帯保証人になり、山ほど書類を書かなくてはなりませんでした。

借り換えの手続きで何度も支店に足を運んでいた頃、仕切りの向こう側から別な人達への対応が漏れ聞こえることがありましたが、

「この年収では、うちは無理ですね。」とか、

「奥さんの収入を合算するので所得証明を取ってください。」とか、

「この職種では・・・」とか、

とにかく対応が厳しいのです。どこもこんなもんなんでしょうか。それとも、ろうきんが特に審査が厳しいのでしょうか。うちも、今までローンの返済をしていた口座の通帳を2冊ほどコピーされ、過去に焦げ付きがなかったかどうかチェックされました。

そして、めでたく借り換えが完了し、最初の返済が始まった頃、アメリカが大変なことになってしまったので、びっくりしました。メモの不安が的中してしまいました。泣く泣く家を手放す人達の映像をニュースで見た時には本当にぞっとしました。決して他人事ではありません。うちだって、何か不幸なことが重なれば、ローン破綻していたかもしれないのです。

私はビビリ

その頃には、ボーナスも年々減っていってましたが、ボーナス返済を設定していなかったのでへっちゃらでした。ボーナス分から毎回10万円を繰り上げ返済し、着々と期間短縮してゆき、そして予定より3年早く、一括返済することができました。

もう、頭の上の重しが取れたような、または、白黒の世界がパアーっとカラーになったような、晴れやかな気分です。

住宅ローン一つでこの有様です。つくづく私は小心者だと痛感しました。借金をしてはいけないタイプなんです。

 

「オイコノミア」を見ながら、「もう一度、あの返済の日々をやるなんてのは絶対無理だな」と思いました。不安過ぎます。

今時の若い人達は、本当に年収が低くてかわいそうだと思います。先行き勤め先がどうなるかわからないので、ローンを組むのはリスクが高すぎです。土地を買って家を新築するのではなく、何か他の方法で家を手に入れることを考えなきゃだめな時代だと思いました。

 

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