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記録帳

日常の体験と、読書、映画の感想を主に書きます。

大悪臭事件

日常

と言っても、1853年の「ロンドン大悪臭」Great Stink)ではありません。

大悪臭 - Wikipedia

一昨年の夏ことでした。

ある日、二階の寝室に上がって見ると、恐ろしい悪臭が漂っていました。

仰天して臭いの元を辿ると、それは夫のクローゼットでした。

寝室には1畳分のロータリークローゼットがあって、夫の背広やコートが掛かっています。そこからひどい臭いがするのです。どういう臭いかっていうと、化学肥料の硫安です。つまり、アンモニアがさらに分解された時の臭いですね。

一体全体、なぜこうなったのかと呆然と考えていて思い出しました。その頃、私は実家の父が亡くなったばかりで、忙しくって夫の服をクリーニングに持っていくことができなくなっていたのです。それで、「自分で持って行ってよ。」と言って全部任せていたのですが、夫が「安いクリーニング店が出来た。」と言っていた記憶があります。そして冬物をゴッソリ、クリーニングに出して持って帰って来てたみたいなんですが、私は夫のクローゼットなど覗いても見なかったのです。

梅雨が明けて、湿気がひどいので夫がクローゼットを全開にし、掛けたままのビニールを外したのです。西日が当たる暑い部屋で。

安いクリーニング店に出した普通のドライクリーニングの服です。汗の成分が残っているのです。汗の成分は袋の中にこもって3、4ヶ月濃縮された挙句、湿度の高い夏の日に一挙に開放されたのでした。わ~~~~~!

硫安の臭いのする部屋で寝ることができるでしょうか。私にはできませんでした。

臭いのです。そして、もし火でもつけたら爆発するのではないかというような気がするのです。

以前TVドラマの「イ・サン」で、臣下のホン・グギョンが、宮廷から追い払われた不遇の時代に肥え汲みの仕事をしていたって場面があって、「下肥えはいろいろと役に立ちますよ。火薬の原料にもなる」と言ってたことを思い出しました。

調べて見るとやっぱり昔は汲み取り便所から火薬の原料を取っていたようですね。

火薬 - Wikipedia

「危ない。ここは絶対危ない・・・・」私は身の危険を感じ、長いこと息をしているのも辛いのでリビングで寝ることにしました。(夫は鼻が鈍感なので平気で寝室で寝ましたけど)

 

この服の悪臭を取る方法はないだろうかといろいろやってみましたが、全然だめでした。

ファブリーズはもちろんのこと、消臭剤、電池式の脱臭器、塩素イオンで脱臭するというサンヨーの空気清浄機・・・思いつく限りの方法を試してみましたが全部だめでした。要するに服がひど過ぎるのですね。

 

夫は例え古くなっても、決して自分の買った服を捨てようとしないのです。捨てると怒ってゴミ袋から取り戻したりするのです。なんなのでしょう?ケチというより物に執着するのですね。私が服の手入れをしていた時には、古くなって擦り切れてくるとクリーニングに持って行っても受け付けてくれないから、自分で補修してドライ用の高い洗剤で手洗いしたり、こっそり捨てて、そっくりなベストやズボンを買ってきたりしたのですが、父が認知症になってからはて夫の服のことなどお留守になっていたのです。安いクリーニングの店はチェックが甘くて擦り切れていても受け付けてくれたようです。きっと安い溶剤でドッサリ大量に洗うのでしょう。

それに、「クリーニングから持って帰ったら、ビニールを外して風に当ててから仕舞わないといけない」ということは以前から何度も注意していたのですが、全然人の言うことを聞かないのです。いくつかの悪条件が重なったのでしょうが、こんなひどいことになるとは思ってもみませんでした。

 

結局、すべての背広、コート、ズボン、ベスト、ネクタイなどを私の行きつけのクリーニング店に持って行って、「汗抜きクリーニング」してもらいました。これは、水洗いの後普通のクリーニングにかけるというもので料金も高いのですが、背に腹は代えられません。

全部で3万以上かかりました。

なんてことでしょう。

この事件でハッキリと認識できたのはまず、「普通のクリーニングでは汗は落とせない」ということです。皮脂など油性の汚れは落とせても、水溶性の汗の成分は残ってしまうのですね。だから、夏など汗を大量にかいた時は、必ず「汗抜きクリーニング」をしてもらわなくてはなくてはなりません。

 

次に、「マニュアルを無視する奴はロクなことにならない。」ってことです。

私は、義母のガンや父の認知症や、その亡くなった後のドタバタの時、「ああ、誰かウルトラCみたいなことができる人がいてくれて、一挙に難問を解決してくれるといいなあ。」とつくづく思っていました。アメリカのTVドラマなんかじゃよく出てくるではありませんか。凡人が思いも付かないような奇策で、八方塞がりの時に壁をドカーンみたいな、胸のすく解決をしてくれる人が。そんな人が身近に誰か一人くらいはいてくれてもいいのに、誰もいないんです。それで、凡人の私たちは、アリンコのように自分で出来ることを一つ一つコツコツやって迂遠に難問を解決していくしか方法がないのです。なのに、

なのに!

「〇〇しなくてはいけない」とか、「〇〇してはいけない」とかいう常識的なレベルのことがきちんとできない奴が一人でもいると、日頃の努力が水の泡になってしまうのです。

夫も子供たちも、基本的なことがきちんとできないタイプです。面倒なことをショートカットしてしまうことも度々あります。そのせいで、私の日頃の努力がパアということもよくあります。ここ数年、「この人は実はこういう人だったのか」とはっきりわかることが多くなってきました。結論を言うと、誰一人頼りにならないってことです。

この「大悪臭事件」は、まるで「臭いものに蓋」してたら、ある日一挙に吹き出したみたいな象徴的な出来事でした。